1.皮膚の表面で
角質細胞がレンガのように積み重なってできている皮膚は、私たちの全身をおおってウイルスや細菌などの病原体を跳ね返している防御壁です。
いちばん外側の角質細胞は約4週間であかとしてはがれ落ち、新しい細胞と交代。
新陳代謝を繰り返すことで、皮膚のバリア機能が保たれています。
また、体毛が異物を押し戻したり、皮脂や汗が細胞と細胞のすきまをふさいで異物の侵入をブロックするなど、皮膚の表面にも仕掛けがあります。
ところが、乾燥して皮膚が乾くと角質がはがれやすくなり、バリア機能が低下。
おできやイボ、ニキビなどができたり、全体的な免疫力も落ちてしまいます。
2.肺や腸などの粘膜で
口やのど、目、鼻の内部、気管、肺、胃、腸、尿道、膣など、体内の重要ポイントをカバーしている粘膜。
細胞が何層も重なってできている皮膚に対し、粘膜の細胞はたった一層。
本来はとても傷つきやすい反面、すぐ下に血管が走っている為、栄養を取り込みやすく、新陳代謝が活発なのが特徴です。
粘液という強力な武器を使って病原体と闘い、体内への侵入を阻止。
また、口の中では唾液が、胃の中では胃液が、腸の中では胆汁が、それぞれ特有の成分を用いてウイルスや病原菌を殺しています。
さらに、腸管や気管などでは、細かい毛で異物を外に追い出すなど、独特の工夫をしているケースもあります。
皮膚同様、粘膜にとって乾燥は大敵。
粘膜が乾いて免疫力がダウンし、粘膜細胞のすきまから病原体に侵入されると、風邪やインフルエンザにかかったり、口内炎や膀胱炎、中耳炎、扁桃炎、ものもらい、結膜炎などのトラブルが起こります。
3.血管・リンパ節で
皮膚や粘膜の防御壁を突破して体内に侵入してきた病原体を攻撃し、排除しているのが免疫細胞です。
免疫細胞はマクロファージ、顆粒球、リンパ球といった3つの部隊からできた混成チーム。
合わせて白血球とも呼ばれ、体の各所にあるリンパ節に集結し、血液に乗って全身を移動しています。
マクロファージは侵入してきた病原体をパクパク食べて処理。
顆粒球は活性酸素で敵を攻撃。
リンパ球は特定の病原菌や細胞に対して攻撃を仕掛ける特殊部隊で、がん細胞を退治することで有名なNK細胞もリンパ球の仲間です。
全身の免疫細胞の数はおよそ2兆個といわれ、脳細胞の約1000億個、肝臓細胞の約2500億個と比較しても、その数の多さは歴然!
けがや病気をした時などは、必要に応じてさらに増産されます。